MODE JAPAN Blog

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次期 MODE モビリティクラウドのご紹介

MODE ソフトウェアエンジニアの武田です。今回は現在開発を進めているMODE モビリティクラウドの次期バージョンについてご紹介します。

MODE モビリティクラウドはMODEが提供する領域特化型のサービスの一つであり、自動車や産業用車両といった移動体(モビリティ)からのデータ収集に特化した機能をSaaS型で提供しています。 MODE モビリティクラウドの概要についてはこちらの記事をご覧ください。

MODE モビリティクラウドのご紹介 - MODE JAPAN Blog

次期バージョンでは様々なお客さまの声をもとに、MaaSビジネスのIoT基盤としてより使いやすくなるよう内部を一新しました。

各機能は段階的にリリースを行っていきます。ここでは初期リリースにて追加される予定の機能や変更点をご紹介いたします。 詳細は今後変更される可能性がありますが、予めご了承ください。

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アセットトラッキングへの対応

車両だけではなく、より幅広いモノを一元的に管理できるようになります。

例えば物流業務の全体を考えた場合、輸送車両だけではなく、荷物やその倉庫、フォークリフト、トレーラーやコンテナ、パレットや台車といった物流資材などの情報も合わせて管理する必要があります。 今回、システム内部のデータ構造を見直し、車両だけではなく様々なモノ(アセットと呼びます)に関するデータを一元的に管理できるようにしました。

各アセットが持つ基本的なデータ構造として、位置情報や温度、湿度などの基本的なセンサーデータと「イベント」と呼ぶ時系列データがあります。 イベントとは、どのアセットに対して、いつ、どこで、誰が、何をした、というデータです。イベントはセンサーデータをもとに自動的に生成したりオペレーターの手動操作によって記録したりすることができます。 例えば、車両の場合は急ブレーキや急ハンドルを「危険運転」として管理できます。荷物や物流資材の場合は入庫や出荷、積み込み、到着といった「実績」を自動または手動で記録することができます。 収集したイベントはお客さまの社内基幹システムへリアルタイムで通知・連携することができますので、日々のビジネスフローの中でそのデータをリアルタイムに利用することができます。

なお、全てのアセットにMODEゲートウェイを設置する必要はありません。例えば、各アセットにバーコードやRFID、ビーコンといった何らかの識別子をつけておき、 それを各拠点に設置するMODEゲートウェイが読み込む構成を取ることも可能です。

オペレーターモニタリングへの対応

試験的な機能となりますが、オペレーターのモニタリング機能を追加します。

例えば、シートセンサーを活用したドライバーの体調(眠気・疲労)のデータのほか、各ドライバーの運行履歴や危険運転履歴などのデータを確認することができるようになります。 また、将来的には日々の体温やアルコール検査結果などの体調情報も合わせて管理し、日々の安全運転指導や健康管理にご利用していただくことを想定しています。

MODE Time-series Database (TSDB)への対応

従来から対応していたSDSに加え、TSDBにも標準で対応します。収集したセンサーデータをより簡単に利用することができるようになりました。

TSDBは通常のDBが苦手な時系列操作に特化したMODE独自のデータベースプロダクトです。 長期間のデータクエリでも瞬時にデータを返すことができ、センサーデータ収集と可視化に向いています。 SDSは高頻度/大容量データに対応したMODE独自のデータストアです。ミリ秒単位のセンサーデータといった大容量のデータや動画や写真といったバイナリデータの収集に向いています。 どちらもゲートウェイ機能と連携することで移動中の圏外など通信が不安定な環境でもデータを確実に収集する「データの到達保証」を実現しています。

次期 MODE モビリティクラウドの標準構成では、車両の位置情報や温度情報などグラフで可視化したいセンサーデータにはTSDBを使い、 動画やお客さまのデバイスが出力するバイナリファイルのアップロードにはSDSを用いています。

高いカスタマイズ性

内部設計とAPIを見直すことでゲートウェイ機能とクラウド機能が粗結合となりました。より柔軟な構成でシステムをご利用していただくことができます。

具体的には、MODE モビリティクラウドが提供するクラウド機能だけ、または逆に、ゲートウェイ機能だけをご利用いただくことができるようになります。 例えば、お客さまにて通信型ドラレコのようなデバイスをすでにお持ちの場合、当社が提供するSDKを組み込んでいただくことでクラウド機能だけをご利用いただくことができます。 または逆に、当社が提供するWebアプリケーションが不要な場合、ゲートウェイ機能とデータストア(TSDB、SDS)、データストアが提供するAPIだけを使うこともできます。 さらには、お客さまにてSDSやTSDBに相当するデータ基盤をお持ちの場合、ゲートウェイ機能だけを利用してデータをお客さまのクラウド基盤に直接蓄積することもできます。

その他の機能追加

その他、初回リリースでは以下の基本機能の追加を予定しております。

複数カメラ対応 (ゲートウェイ機能)

複数台のカメラの動画を同時に保存、管理することができます。台数にソフトウェア的な制限はありませんが電源容量や通信帯域といったハードウェア面の制約があります。 詳しくはお問い合わせください。

タブレット、スマートフォン対応 (クラウド機能)

Webアプリケーションを刷新し、タブレットやスマートフォンから利用しやすくなります。

危険運転箇所ヒートマップ表示(クラウド機能)

急ブレーキや急ハンドルなどの危険運転の多発箇所を地図上で確認できるようになります。

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標準では危険運転が多い箇所を赤く表示しますが、配送拠点周辺の混雑状況を地図上に可視化するなどカスタマイズしてご提供することもできます。

長期連続稼働対応(クラウド機能)

産業用車両やコンテナやトレーラーといったモノの場合、24時間365日連続して継続的にデータ収集を行い続ける必要があります。 UIを見直し、長期連続稼働した場合でもパフォーマンスが落ちること無くスムーズに操作ができるようになりました。

ファイルアップロード機能(ゲートウェイ機能)

お客さまのデバイスで生成されるデータファイルやログファイルをゲートウェイ機能を経由してクラウドにアップロードする機能です。 アップロードしたファイルはWebアプリケーションからダウンロードすることができます。また、AWSをお使いであれば、お客さまが管理するS3にアップロードすることもできます。 アップロードするファイルをMODE ゲートウェイが受け取る方法はお客さまのデバイスに合わせて個別対応いたします。ご相談ください。

まとめ

MODE モビリティクラウドは今回のバージョンアップにて、自動車だけではなくその周りの場所やモノ、それに関わる人のデータやイベントも一元的に収集・管理・可視化できるようになります。 また、デバイス・センサーからクラウドアプリケーションまですべてのレイヤーを包括的にカバーしたオールインワンパッケージではありますが、企業によって違うビジネスプロセスや他社との差別化に柔軟に対応できる高いカスタマイズ性を備えています。

これにより、お客様のビジネスに直結するIoT技術の活用とデジタルトランスフォーメーションを支援します。詳しくはお気軽にお問い合わせください。

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